Quantcast
Channel: 一世(issei)オフィシャルブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 367

和製英語(外来語)やら誤用慣用句やらの話‥‥たまには一般記事で。

$
0
0


挿入画.jpg



外来語をアレンジして日本語の一部にしてしまう和製英語(外来語)は多い。それが単語の変化だったり発音だったり、アメリカやイギリス本国では使わない用法や発音でも日本ではアタリマエに使われている例である。探してみると結構多いから面白い。





◆シュークリーム

(仏語 choux + 英語 cream の合成外来語)


…ご存じ、あのフワフワしたシュー皮の中にカスタードクリーム等を入れたお菓子。

随分前の話だが、ボストンのとあるレストランで必死にこれを注文している中年男性(日本人)を見掛けた事がある。その御仁は「シュークリーム」という単語(発音)がアメリカでも通用するものだと勘違いしていたらしく、「シュークリーム」を盛んに連発している。困り果てた支配人が「あなたは今ここ(レストラン)で本当にそれが必要なのですか?」と訊ねると、その御仁は「私の夕食後にはそれとコーヒーが欠かせないのだ」という。笑いを堪えてその一部始終を見ていたら、くだんの支配人は複雑な表情を浮かべながら、その御仁の前のテーブルに静かに
靴墨(shoescream/シューズクリーム)を置いたのでありました。



シュークリームは

「クリーム・パフ/cream puff」になる。フランス語圏なら「シュー・ア・ラ・クレーム/chou a la creme」だ。シュークリームはもう完全な日本語なのだ。銀座コージーコーナーやヒロタの店先で「シュークリームという言葉はマチガイですよ」等としたり顔でいう云う“変わり者”も時々居るそうだから大笑いである。


ちなみに、「シュー/chou」とはフランス語でキャベツや白菜などの結球野菜の総称だが、丸く絞り出して焼いた生地を結球したキャベツに見立てて「シュー」と呼ぶところからこの名称となったらしい。





◆ビタミン

(英語/vitamin)


vitaminをビタミンと発音したところから来たのだろう。正確にはヴァイタミンと発音するのだが、日本ではビタミンと言わなければ通用しないだろう。vitaminがヴァイタミンだと認識されるには今のペースだと後100年掛かるかもしれない。





◆モアベター


本来英語にこういう用法(more+better)はない。しかし日本では完全に定着してしまっている和製英語で、もはや日本語と云ってもいいだろう。私は今でも普通に使っている。ニュアンスが分かりやすい和製英語だから便利だ。もちろんメリケン人相手には使わないけれど。




◆ガソリンスタンド


米国ならば

「ガス・ステーション/gas station」 英国なら「ペトロール・ステーション/petrol station」となる。もちろん日本で定着してしまった誤用法。英語圏の国でガソリンスタンドと云っても怪訝な顔をされる。もっとも最近ロサンゼルスあたりでは「日本人は給油所をガソリンスタンドと云うらしい」と理解してくれるメリケン人が散見するそうだ。相手が何を言いたいのか何となく判っているくせに「通じないフリをする」のがメリケン人の常だが、少しは度量も大きくなった(成長した)という事か。





◆ナイター


正しくは

「ナイトゲーム/night game」となる。日本のプロ野球では長らく使われて来た誤用法。NHK等では「昨夜はナイトゲーム6試合が行われ…」と云うようになったが、ラジオでは「ニッポン放送ショーアップナイター」とか「TBSエキサイトナイター」とか使われている。





◆ホッチキス


機関銃の発明者である

ベンジャミン・B・ホッチキス(Benjamin Berkeley Hotchkiss 1826年~1885年)の名前に因む。日本での「ホッチキス」という呼び名は、明治中期に伊藤喜商店(現、株式会社イトーキ)が米国より初めて輸入したステープラー(stapler)が、E.H.ホッチキス社(E.H.Hotchkiss)の製品であり、これを「ホッチキス自動紙綴器」と名づけて販売したことに由来している。


この文房具自体の発明者はベンジャミン・ホッチキスではなく、綴じ針が連続して打ち出される構造が機関銃の構造と全く同じことからの連想で付いた名称とされる。この文房具を製品化したアメリカのE.H.ホッチキス社は、ベンジャミンの弟エーライ・H・ホッチキス氏とも言われている。


米国ではホッチキスと言っても通じないだろう。ステープラー(stapler)というのが本来の呼び方だからだ。逆に日本の文具店で「ステープラーを下さい」と言っても、若い店員さんのほとんどは「‥‥???」となるだろう。


日本のJIS規格でも「ステープラー」という商標名として扱われていたが、現在は一般名詞化しているという事で文房具としての商標権はなくなっているらしいが、ホッチキスとしか呼ばれなくなった事が案外ホントの理由だったりして。


ちなみに、ホッチキスの替え針を「ホッチキスの弾(たま)」と言う事があるが、機関銃の自動弾装から由来する呼称だそうだ。物騒な呼び方である。





……こんな具合。日本に定着して日本語になってしまった誤用外来語は意外に多い。面白いのは、上にあげた例の言葉を使うと「英語にその用法はない」とかチェック入れて来るウザったい人間がたまに居る事だ。もはや完全に日本語になってしまった誤用法だと知った上で使っている身としては、まさに

余計なお世話となる。昔は「ならば日本に住んでないでアメリカで暮らしなさい。」とか「一生、英語だけ喋ってろ」とか返してやったものだが、いちいち論破するのも面倒臭いので最近ではマトモに取り合わず「ああそうですか」と返している。「それはそれは、よくご存じで!」とか言いながら拍手でもしてやれば喜ぶのかも知れないが(笑)。





「一生懸命」などの誤用慣用句と和製英語は違うのである。





和製英語の話から逸れるけれど、一生懸命ではなく

一所懸命が正解。これを10数年前にとある場所で書いたら、「一生懸命は言葉として存在します」という匿名のハガキを送りつけて来た奴がいた(薄々誰だか判っていたけどね)。こういう奴には権威的な立場から反論しないと効果がない(聞く耳を持たない)ので、東大の国文学の教授にお願いして「一所懸命」の本来の意味と由来を解説して頂いたものである。





「一生懸命」という誤用慣用句はメディアを始め世間に氾濫しているが、私は自分自身で使わないだけで「その表現はマチガイですよ」などと人様にいちいち指摘する事はない。

したり顔でこういう指摘をする人間こそ実は最も嫌われるからである。それに人様が正しい言葉を使おうが使うまいが、私の知った事ではないからでありますね。







Viewing all articles
Browse latest Browse all 367

Trending Articles