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Channel: 一世(issei)オフィシャルブログ
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感覚

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10年来私が指導している東京のピアノサークルの古参メンバーSさんから相談を受けた。とある事情(プライベートな事なのでここには書かないが)でピアノの練習をする時間確保と体力に自信がないので、どうしたらよいか‥‥という内容だった。


しかもメールではなく、私に電話可能な時間を事前確認した上で、わざわざ電話を掛けてきた上での“相談”である。
(さらに云えば、直接会って相談したいとまで言われている)


私も鬼ではない(笑)。「暫く欠席して、無理なく参加可能なコンディションになったらメールで良いので事前連絡して下さい」と申し上げた。



ここで重要な事は、Sさんが
自己決定のメール通告ではなく、キチンと電話で『相談』と形を取った点 である。これはなかなか出来る事ではない。「都合が悪いので暫く休みます」「忙しくなったので退会します」等、決定事項を一方的にメール通告して来る例 ( 私はこういう一方的メールには一切返信しない。) ばかりなので、まず指導者に相談して指示を仰ぐ‥という段階を踏む真っ当な例は、20数年ぶりだった。




私がまだ若い頃、師匠のレッスンを体調理由で暫く欠席したい時は‥‥


1 まず師匠に直接電話連絡する (用件そのものを留守電には入れない)

2 直接師匠に事情説明し、師匠の指示を仰ぐ


‥‥こうした手順を踏むのが最低の常識であった。この時代に携帯電話だのメールだのが普及していても、師匠への連絡手順は不変であろう。どう考えてもレッスン受講出来ない体調だったとしても、自己判断で自分からレッスンを中止して後日にずらす権限など生徒に無い。権限を持っているのは指導者なのだ。それが稽古事の基本常識なのである。



私自身は、サークルや個人レッスンなどでは、不測の事態による遅刻・欠席はメール連絡としている。ただし、サークル休会や一定期間の欠席の場合は話が違って来る。このあたりを勘違いしている例が最近ポツポツ見受けられるが、休会だの退会だのを一方的にメール通告された場合、こちらは
「ああそうですか」で終り。メール返信もフォローもしない。


指導者は、自分が何十年も修練して身に付けた事をレッスンで生徒に教える。私もそういうレッスンを先達に受けて来た。たとえ体調不良と云えども、自己判断で最終決定する権限など生徒にはカケラも無い。まして退会とかを指導者に一方的に通告など発想すら無かった。
(‥そういう常識すら知らない人間がプロトコールマナーだのパーソナルカラーだと骨格診断だのとノタマいながら人様から金銭をふんだくって偉そうに講座を開いている例を見ると笑止千万であるが)


前述のSさんの学生時代の同級生が国内門下生として個人レッスンを受けて来ているが、私など遠く及ばぬ素晴らしい人格者で、Sさんに勝るとも劣らぬ真っ当な社会常識の持主である。まさに類は友を呼ぶの典型だ。こういう真っ当な感覚を持った人々が日本から減りつつあるのが気掛かりだが、膝元とも云うべき東京ではサークルにしろ門下にしろ盤石なので助かる。


ピアノサークル指導をしている事もあり、各地でサークルの発表会をそれぞれ年1回実施しているが、その発表会に参加しない事を自己判断で決定して、私から以後のレッスンを停止された人間も昨年いる。お伺いなどと偉そうな話ではなく、まず一言なぜ「相談」出来ないのだろう。こちらも無理強いなどせず出来るかぎり生徒が最もやり易いように考えながら相談に乗るわけだから。



サークル休会にしろ退会にしろ発表会不参加にしろ、自己判断で決定する前に指導者にまず相談して指示を仰ぐのは常識的な
感覚 ではないかと私は考えている。




今年7月だったか、私に入門したいという人間が連絡して来た。私は理由をハッキリお伝えして「お断り」した。その人は、それまで指導を受けていた先生に対して今年早々に退会連絡を一方的にメールした前科がある。その先生は
(名こそ申し上げないが)演奏活動を生業としているプロのピアニストであり、当然ながら我々同業ピアニストにも 「こういう名前の人が入門志願して来たら気をつけて下さい」 と連絡が回って来ている。その人には、以下のように申し上げた。



「あなたは前に師事していた先生に一方的に退会通告をして辞めていますね。そのような人にレッスンは致しません。尚、プロのネットワークは強力です。今後あなたの指導を引き受けるプロのピアニストは居ないと思って下さい。」




不義理をしておいて次の行先が見つかるほど我々の世界は甘くない。








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